インクルーシブな公園や街づくりのガイドライン

1 当事者とコミュニティの参画によるみんなの公園や街の共創

① 当事者とコミュニティの参画で共同創造を:

公園・遊び場づくりには、当事者である子どもたちやその家族、地域の関係者に積極的な参画を促すことが重要です。当事者の声や意見を尊重し、設計や運営のプロセスに参加してもらうことで、地域住民にとっても意義のあるインクルーシブな公園や街が創られます。

そして、インクルーシブな公園や街づくりやその運営は、地域コミュニティの参画と協力が不可欠です。地域の住民などが一体となって公園や遊び場づくりに取り組み、みんなで楽しく過ごせる場所を共に創り上げることによって、インクルーシブな公園や街が生れます。

② 多様な遊びや楽しい体験を提供する:

インクルーシブな公園や遊び場の設備やデザインは、様々な能力や興味を持つ子どもたちを、共感と尊重の文化で受け入れるように考慮しなければなりません。遊具や遊びエリアのバリエーションを豊富にし、身体的、感覚的、社会的な遊びをサポートします。様々な能力や興味を持つ子どもたちが、夫々に自分らしく、楽しい体験を見つけることができるように工夫しましょう。その為には、当事者および地域の参画が不可欠です。

2 ユニバーサルデザインを活かしたハードウエア

③ バリアフリーな環境の実現を:

遊び場は、すべての子どもたちが利用しやすいアクセス可能な環境を提供する必要があります。バリアフリーデザインやアクセス経路の確保、車椅子やモビリティ支援具の利用に適した設備など、すべての子どもたちが安全かつ自由に遊べるようなバリアフリーな環境を整えます。

④ ユニバーサルデザインを活用する: 

ユニバーサルデザインの考え方を活かして公園や街を設計することで、様々な能力や興味、そしてニーズを持つ子どもたちが共に遊べる環境を実現します。遊具や遊びエリアの配置やデザインを柔軟に考えることで、子どもたちが自分に合った遊びを選択できるように工夫します。

3 インクルーシブデザインを活かした共感や共育を促すソフトウエア

⑤ 共感やつながりを生むソストウエアの充実を:

誰もが歓迎され、参加しやすく、差別や偏見のない環境を作り出すことによって、交流や協力、共創を通じて共感が生まれ、相互理解も深まります。そのためには、イベントや運営上の様々なソフトウエアによる楽しい体験を通じて、利用者同士の共感やつながりが生まれるための工夫や、仕組みを充実させることが大切です。

⑥ 楽しい体験を通した共育で心のバリアフリーを促進する:

みんなの公園や街では、異なる背景や、様々な能力や興味を持つ子どもたちがつながり、共に遊ぶことができる様にすることで、共感や共育が促進します。一方で、能力レベルに対応した遊具やプログラムの提供も必要です。その為に、グループプレイをサポートするエリアや遊具、コミュニケーションを促進するスペースを設けましょう。さらに、みんなの公園や街づくりには、社会の理解や意識の向上は欠かせません。

そこで、様々な能力や興味を持つ利用者の多様性に対する理解を深め、共感、共育と尊重の文化を広め、差別や偏見のない社会意識の醸成が大切です。その為に、楽しいイベントやワークショップの開催に加え、情報提供などを、利用者のみならず、地域住民も共に育つ、共育活動を行うことが、心のバリアフリーを促進するために効果的です。

4 ベネフィットリスクアセスメント(BRA)の活用とPDCAで進化するマネジメント

⑦ 安全配慮はベネフィットリスクアセスメント(BRA)の活用でバランスを:

利用者の環境が安全で、ケガや事故のリスクを最小限に抑える必要があります。また、遊具は適切な安全基準に基づいて設置される必要があります。そして、遊具のメンテナンスや点検が定期的に行われ、欠陥やハザードな状態がないことを確認します。

一方で、安全を重視するあまり、遊び本来の楽しさや利用者の興味が失われないように配慮する必要があります。そこで、インクルーシブな公園や地域づくりでは、新しい遊具の導入、アクセシビリティの向上、遊び場の設計変更など、様々な要素、活動に関する判断は、リスクと便益の両面からそのバランスを評価するマネジメント手法として、ベネフィットリスクアセスメント(BRA)に基づいて判断を実施する必要があります。

⑧ PDCA(継続的評価と改善)でマネジメントを進化させる:

公園や街づくりは一度作ったら終わりではありません。PDCAサイクルによる継続的な評価と改善が必要不可欠です。そして、利用者のフィードバックを収集し、そうした声をもとに改良や修正、改善を行うことによって公園や街はソフトウエアやマネジメントの仕組みが進化を続け、より良い環境を提供し続けることができます。 以 上

*ベネフィットリスクアセスメントは、レクレーションやレジャー施設での、安全と遊びの価値としてのリスクを、ISO4980に基づいてバランスよく管理する手法です。

プレイグラウンドセーフティネットワーク編 みんなのインクルーシブな公園づくり ガイドライン&事例集

私たちプレイグラウンドセーフティネットワーク(PSN)は、遊びの価値と安全安心が両立したインクルーシブでもっと自由な遊び場づくりのために「インクルーシブな公園や街づくりのガイドライン」を策定しました。インクルーシブな遊び場、公園、街づくりに関わる多くの当事者、関係者の方々に共有させて頂ければ幸いです。

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